すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。
ゴール6で目指されるのは、すべての人々への飲料水、トイレ、下水施設・衛生設備の提供である。水不足や劣悪な水質、衛生施設の不備は、食料の安定確保、生計手段の選択、教育の機会、ジェンダーの平等など多方面で悪影響を及ぼす。
2015年、世界人口の約1割にあたる6.6億人が安価で安全な飲料水へのアクセスが無く、簡素で不衛生な井戸等から飲料水を調達せざるを得なかった。また、トイレ等の衛生設備へのアクセスが無い人々の数は24億人に至ると報告されている。野外での排泄は、飲料水の汚染につながり、コレラ、赤痢といった疾病を招きかねない。飲料水と衛生設備の状況は、地域的には、サハラ以南アフリカ、南アジアの状況が劣悪である。とりわけ農村部の貧困世帯において深刻であり水ストレスに苛まれている人が多い。
水資源の管理も重要である。特に、気候変動、急激な都市化といった問題に面している地域では水不足が深刻である。水不足は農業、工業といった生産活動のみならず、社会生活にも悪影響を及ぼす。水不足に悩んでいる国は北アフリカ、西アジアに多くみられるが、それ以外の地域においても、水利用の効率化、生態系の保護など広い分野から事前の対策が求められる。例えば、ウオーターフットプリントを算定した上で、バーチャルウォーター・トレードといった施策を促進することなどが考えられる。
ゴール6は6.1から6.bまでの8つのターゲットから構成される。6.1では飲料水へのアクセス、6.2では下水施設・衛生施設へのアクセスが取り上げられており、貧困世帯の生活に直接に影響を与える問題が提起されている。6.3では汚染の減少等による水質の改善、6.4は水利用の効率化を対象としており、水資源を持続的に確保するための具体的な措置を講じることが求められる。6.5では統合的水資源管理という広い視点での対策の必要性が示され、6.6では生態系の保護・回復という側面が注視される。一方、実施手段や制度に関しては、6.aで国際協力、6.bで地域コミュニティの拡大や強化という視点から課題が提示されている。
ゴール6のターゲット
6.1 | 安全・安価な飲料水の普遍的・衡平なアクセスを達成する |
6.2 | 下水・衛生施設へのアクセスにより、野外での排泄をなくす |
6.3 | (汚染や投棄の廃絶と有害な化学物質の放出抑制等により)水質を改善する |
6.4 | 水不足に対処し、水不足に悩む人の数を大幅に減らす |
6.5 | (国境を越えた協力を含むあらゆるレベルでの)統合水資源管理を実施する |
6.6 | 水に関わる生態系を保護・回復する |
6.a | 開発途上国に対する、水と衛生分野における国際協力と能力構築を支援する |
6.b | 水と衛生の管理向上における地域社会の参加を支援・強化する |
用語
水ストレス
水需給が逼迫していて、水の使用に制約がかかっている程度を表す指標。年間取水総量を再生可能な水資源総量(たとえば年間、川に流れる水)で割った比率で計算される。
ウオーターフットプリント
ものをつくる際に、原料の取得から製造、輸送、販売、使用、消費、 廃棄にいたるライフサイクルで消費された水の量。
バーチャルウォーター・トレード
輸入した食料をもし自分の地域でつくったらいくらの水が必要であったを算出し、その水資源を輸入により節約できた、という立場からみる水資源の貿易。