20代後半に国際交流基金の日本語教育専門家としてインドネシアの国立ガジャマダ大学に派遣され、日本語・日本文学科を同僚とともに開講しました。その後、分野を国際協力に転向し、名古屋大学大学院国際開発研究科に入学しました。後期課程在学中の1997年に、国際協力事業団(現国際協力機構:JICA)から初中等教育計画専門家(個別派遣専門家)としてインドネシアの北スラウェシ州教育事務所および教育文化省に派遣されました。
ここで、のちの参加型学校運営支援の原型となった、地域の教育改善のための、小中学校と地域教育コミュニティを対象としたマイクロプランニングの支援を行いました。また、アジア経済危機対応の緊急支援の要望調査/案件形成、援助調整/開発パートナー協調など中央レベルでの業務を行うと同時に、地方教育局や学校レベルの支援業務も並行して行いました。
その後、フリーランス・コンサルタントとして、インドネシアの基礎教育開発案件5案件に従事し、2008年にIDCJに主任研究員として入職しました。担当業務も、教育政策、教育行政、学校運営から、授業研究、教員研修なども加わって担当範囲が拡大し、2012年ごろまでインドネシア基礎教育の質向上を目指した複数の案件業務が続きました。
2012年以降、アフリカ・中南米の基礎セクター調査、ネパール小学校運営改善プロジェクト、ミャンマー初等教育カリキュラム改訂プロジェクトに従事し、ミャンマー案件では、教師教育(新カリキュラム導入研修)およびアセスメントも担当し、カウンターパート、他の開発パートナーとともに新たなシステムの導入に携わりました。また近年では、エジプト特活プロジェクトにも参加しています。国内業務としては、JICA国別研修:インドネシア教員養成大学指導者対象の授業研究研修の総括も務めました。
上述のように、私はインドネシアの基礎教育セクターでの業務経験が特に長く、これまでの業務を通じて、中央省庁、地方行政、学校レベルや教員養成大学にまで人脈がありますので、そこを買われて、教育事業を担う民間企業からも業務の依頼を受けるようになりました。初めは、JICA民間連携スキームの外部人材として参加する、という依頼でしたが、最近は民間企業独自の事業への参加依頼も増えてきています。
最後に、育児情報についても触れます。この業界でママコンサルが仕事と育児を両立させるのは、かなりチャレンジングです。私の場合、インドネシアの教育案件に従事するようになって数年後に、子育ても開始しましたが、長期滞在の場合には、子どもを同伴し、勤務地で託児体制を整え、緊急時の小児科も決めておき、業務を行いました。短期出張で現地でも地方出張が多い場合には、子どもの同伴は無理ですので、(1) 夫に休暇をとってもらう、(2)実家の母に手伝ってもらう、(3)NPOファミリーサポートセンターの制度を活用、のいずれかで乗り切りました。